看護師とは
About Nurse
看護師のお仕事
About Nurse Job
看護師のお仕事とは
医師の診断・診療計画にもとづき、診療や治療の補助を行ったり、病気やケガなどで不自由な生活を送る患者に対して看護を提供する。また、医師の補助だけでなく、高度化・専門化する医療体系のなかで、患者と医療スタッフ間のコミュニケーションを円滑にし、患者の相談や指導などといった心のケアも看護師の大切な仕事。
求められる力
Required power
高いコミュニケーション力に加え体力や知識も必要
まず求められるのが、医師と患者、関係者を結ぶためのコミュニケーション力。そして、日々発展していく医療技術に対応するための知識や向学心が大切。患者の介助や移送もあるため、体力も必要。
仕事内容
Job Description
問診
家族の病歴、現在の病気の経過・生活への影響などをうかがう。疾患を広く想定した聴取が重要。また、患者が安心できるようコミュニケーションにも気を配る必要がある。
点滴・注射
医師の指示があれば実施できる医療行為。安全に点滴・注射を実施するために、必ず2名以上で「正しい患者」「正しい目的」「正しい時間」「正しい薬剤」「正しい量」「正しい方法・部位」を3回確認する。
与薬
どの病棟でも行われている日常的な業務である一方、最も医療事故が起こりやすい場面の一つ。2名によるダブルチェックや指さし呼称、患者に名乗ってもらうなど、患者の協力を得る方法が勧められている(点滴・注射と同じ)。
食事・排尿の介助
食事の摂取や排尿行動が自力で不可能、または十分にできない患者を介助する。行動の規制や可能な範囲は患者の状態により様々なので、状況に応じた適切な介助が求められる。
検温、脈拍数・血圧測定
意識、呼吸、脈拍、血圧、体温は「バイタルサイン」と呼ばれ、患者の身体の内部環境を正確に把握するために必要な数値。基準値や患者の普段の数値と比較し、異常がないかを確認する大切な行為。
患者移送
自身で立つことや座ることが困難な患者を、ストレッチャーを使って安全に移送する。ベッドがストレッチャーの役割を果たし、そのまま移動できるようになっていることも多い。体力が求められるほか、患者が不安にならないよう精神的なケアも大切。
座位訓練、体位交換
高齢者やケガをした患者へのリハビリ。体位にはあおむけやうつぶせ、座った状態や立った状態など数種類あるため、それぞれ困難な患者のサポートに当たる。床ずれ防止の役割もある。
資格取得のルート
Qualification route
看護師国家試験の合格状況(全国平均)
活躍の場
Place of activity
活躍の場は多種多様。働き方は自分次第
看護師というと「病院勤務」と思われがちだが、高齢化、生活習慣病予防への意識の高まりなどを背景に、様々な場所での活躍が期待されている。とくに、今後は政府主導のもと訪問看護ステーションや老人保健・福祉施設で活躍できる人材育成が進められているため、高齢者のケアができる人材が求められると予想される。
資格取得後のキャリアプラン
Career plan after qualification
専門看護師
水準の高い看護を効率よく行うための技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師。
- がん看護
- 精神看護
- 母性看護
- 小児看護
- 慢性疾患看護
- 老人看護
- 急性・重症患者看護
- 家族支援
- 感染症看護
- 在宅看護
- 地域看護
5年以上の実務経験
修士課程を修了
受ける
認定看護師
水準の高い看護を効率よく行うための技術と知識を深め、卓越した看護を実践できると認められた看護師。
- 感染管理
- 認知症
- 小児救急
- 嚥下障害など全21分野
- 糖尿病
- 皮膚
- 緩和ケア
- 乳がん
- 排尿ケア
- 摂食
5年以上の実務経験
以上の認定看護師教育
を終了
受ける
認定看護管理者
病院や介護老人保健施設などの管理者として必要な知識を持ち、患者やその家族、地域住民に対して質の高いサービスを提供できるよう組織を改革し、発展させることができる能力を有すると認められた看護師。
- 病院や介護老人保健施設の副院長や看護部長
- 訪問看護ステーションの所長など
5年以上の実務経験
2. 大学院で看護管理に関する単位を取得して修士課程を修了
受ける
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患者さんと家族の気持ちを察することが看護の第一歩
患者さんと家族の気持ちを察することが看護の第一歩
私は看護学校と助産師学校を出てから41 年間、看護師、部署によっては助産師として臨床の場で勤務してきました。通常、病院勤務の看護師は部署異動が避けられません。しかし私の場合、異動はそれほど多くありませんでした。私が勤務した病院では、看護師自身が妊娠すると産前産後の〝夜勤免除〟があったため、外来に異動することが多かったように思います。外来だと夜勤がありませんから、母親として夜は家に居られる環境で育児に励むことができました。
病棟勤務では、1か月前に勤務の希望調査があり勤務表が作成されます。そのため、急な家庭の用事や子どもの学校行事などに対して勤務の調整が自由にならず、同じように子育て中の仲間と調整し合うこともありました。どうしても仕事を抜けられないこともありましたが、有給休暇が1時間単位で取得できる制度ができてから、そうしたやり繰りができやすくなり随分と助けられました。しかし、患者さんの急変で予定が変わることもありますので、その点は覚悟しておかねばならないでしょうね。
看護師の仕事も、外来と病棟では患者さんに対する気の配り方が少し異なっているように思います。たとえば、病棟では24時間病室に患者さんがいます。そこに3交代(8時間勤務)、あるいは2交代(12時間勤務)で勤務しますから、患者さんに何か変化があった場合でもすぐに対処できます(病院によって勤務時間は異なる)。
ですから、普段から患者さんとのコミュニケーションが大事になってきます。また、患者さんの日常行動などにも注意を払い、毎日の体調の変化や精神面の変化などを読み取り、看護師が交代する時には正確に情報を提供する(「申し送り」という)ことが重要になってきます。
一方、外来はその時々の勝負のようなところがあります。患者さんが多いなどで診察が立て込んでいたり、病棟で急変した患者さんの処置などで診療時間が遅れたりすると、「何時間待たせるんや!」と怒鳴って帰ってしまう人もいます。
病棟ならば患者さんが病室にいますので何とかフォローできますが、外来で帰ってしまった患者さんは、もう二度と来てくれないこともあります。ですから、できるだけ言葉遣いに注意しますし、待合室での患者さんたちの様子にも気を配っています。
午前診の時間が延びてしまい午後の検査などで診察できない医師もいます。この場合、代わりの医師が診察を行いますが、それでも患者さんとの間を取り持つのは看護師です。でも私は、それもまた大事な「看護」の一つだと思っています。
よく学生は臨地実習(実際に病院などで実践的な臨床を学習すること)で「学校で習った看護技術を生かせる場がない」と言います。たとえば糖尿病の患者さんは重症でない限り自分で何でもできますから、体を拭く、シャワーをするなどのケアが必要ありません。それでは看護計画も立てられないというのです。
そんな時に話すのは「その患者さんはどうして病院に来ているの?」ということです。健康体なら病院には来ないはずです。通院や入院をしているなら、つまり医療や看護を必要としているということ。たとえば、糖尿病の患者さんが血糖コントロールのために入院しているなら、一日のどこで血糖値が上がるのか、その時の生活態度に変化はないか、間食をしていないか……そうした情報を収集して医師、栄養士、管理栄養士に伝えるのも看護でしょう、と話しています。
外来でも、医師の診察を受けていろいろと話を聞いた後、患者さんが「はい、分かりました」と返事をすることがあります。でも、長年その顔つきを見ていると、本当に理解しているのかどうか察しがつくようになるのです。もしも分かっていないようなら、診察室を出た後にきちんと分かる言葉で説明する。それもまた看護の一つです。
また、長いこと仕事をしていると、いろいろな患者さんに出会います。
ある日、他府県に向かう途中で交通事故に遭ったという高齢の男性が運ばれてきました。ところが名前を聞いても答えられず、住所も仕事も分からない。事故の影響ではなく、どうやら認知症ではないかと診断されました。
持ち物から名前と年齢は分かりましたが、あとは分かりません。とにかく連絡できる家族を探すことが大切と思い、いろんな方面から何度も話しかけてみましたが、なかなか本人を特定できるような情報は出てきませんでした。
しかし、会話をよく聞いていると言葉に方言があり、頻繁に出てくる女性の名前がありました。個人を特定する情報を看護師が勝手に調べることはできませんので、ケースワーカーに頼んで方言と名前からA県の戸籍係に問い合わせることにしました。そのような家庭がないかを調べてもらったのです。
すると、あったのです。しかし、家は見つかりましたが、もう誰も住んでいませんでした。話の中に出てきていた女性は男性の亡くなった母親だったのです。ほかにご家族はいないのかと、さらに探してもらうと、どうやらB県にいるとのこと。結局、患者さんは30年以上も前に突然家を出て、奥さんや息子さんが必死で探したけれど見つからず、家族も諦めていた人物だったことが判明しました。
こうして息子さんと連絡がつき迎えに来られたのですが、失踪していたことへの怒りよりも三十数年ぶりに父親に会えたことにひたすら感激されていました。
看護師としては出過ぎた行為だったかもしれませんが、患者さんとその家族が幸せになるために力を尽くすのが看護の役割ですから、それほど間違ってはいなかったのではと思っています。この事例は看護師だけでは果たせない仕事でした。このように、チーム医療の現場ではそれぞれのプロフェッショナルの連携の素晴らしさを経験することもできます。
森ノ宮医療大学 藤本洋子 教授
看護師をめざしたい方へ
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