柔道整復師とは

柔道整復師のお仕事
About Judo Seifuku Job

柔道整復師のお仕事とは

「接骨院・整骨院の先生」として知られる職業。「ほねつぎ」と呼ばれることも。主に捻挫や打撲、骨折、脱臼などのケガを治す。骨折や脱臼を手術することなく元に戻したり、包帯固定やテーピングを行ったりして治療する。ストレッチやトレーニングなど、薬を使わず患者の自然治癒力を最大限生かしたアプローチで回復へ導く。

求められる力
Required power

解剖学、生理学、運動学の知識に加え、コミュニケーション力も必要

評価から施術に至るまで、自分の知識、手技、そして感覚を駆使するのが柔道整復師。それだけに、解剖学・生理学・運動学などの基礎医学に加え、ケガの治療やリハビリテーションなどの知識が求められる。患者と直接に触れ合うことも多いのでコミュニケーション力も不可欠。

仕事内容
Job Description

評価

患者に症状を聞く「問診」から始まり、患部をしっかりと観察する「視診」、そして患部に手で触れて状態を把握する「触診」へと進む。

整復法・固定法

整復法によって、脱臼・骨折をした骨や関節を元の状態に戻す。患部が肩や脚の場合など、必要に応じて、助手の手を借りて整復することもある。整復後は固定法によって患部をギプスなどで動かないよう固定する。包帯の巻き方ひとつで固定力が変わる。腕の場合は三角巾などで吊るすことで患部を安静位に保つ。

手技療法・物理療法

後療法(リハビリテーション)として行う療法。手を使って様々な方法で患部に刺激を与える「手技療法」と温熱、冷却、電気や光などのエネルギーを発する機器を用いて、患部に刺激を与える物理療法がある。これらによって患者の持つ自然治癒力を高めることが目的。

運動療法

後療法(リハビリテーション)の一つで、患部を動かすことで機能を回復させる。とくに骨折後にギプスで長時間固定していた場合などは、関節が固まり、治ったあとにも動く範囲が狭くなる場合があるため、それを防ぐための療法である。

TOPIC

武術から生まれた日本独自の伝統医療 スポーツ医学や健康科学の分野で活躍

柔道整復は、もともと柔術の活法から生まれ、捻挫、骨折などの初期対処法として定着してきた医療。そのため、初動判断に優れた特徴があり、現在では、あらゆるスポーツ現場での傷害にも対応している。武術から分かれて生まれてきた経緯から、スポーツの現場とも密接につながる職業である。手術を行わずに骨や筋肉の働きを利用して治療を進めるため身体の負担が軽く、西洋医学の知識・理論との融合も積極的に行われている。近年では地域医療やスポーツ医療の領域はもとより、介護や福祉の分野からも注目を集めている。

柔道整復師になるには
Qualification route

資格取得のルート

柔道整復師国家試験の合格状況(全国平均)

求人・独立開業について
Place of activity

活躍の場

接骨院(整骨院)、病院のほか、介護リハビリ分野でも活躍

接骨院(整骨院)、病院や整形外科クリニックなどが主な勤め先。高齢者福祉施設などに所属して、介護の一端としてのリハビリを行うこともある。スポーツジムやスポーツチームの専属として活動している者もいる。また、評価から施術までをひとりで行え、健康保険も使えるため、経験を積んで独立開業する者も多い。

資格取得後のキャリアプラン
Career plan after qualification

独立開業

医療関連の仕事としては鍼灸師とともに独立開業の多い資格として知られる。骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷の施術には、健康保険や労災保険などが適用される(骨折、脱臼の施術には医師の同意が必要)。地域に根付き、長く地域の人たちに頼られる接骨院として独立開業を目指す者も多い。

スポーツトレーナー

柔術の治療からスタートした手技であるため、今もスポーツ分野のケガの治療に活用されている。スポーツクラブなどでは専属のトレーナーとして柔道整復師を置いているところもあり、また、様々なスポーツチームの専属トレーナーになっている場合もある。骨折や脱臼に限らず、捻挫や挫傷などの応急処置を行えるため、遠征の多いスポーツなどではトレーナーとして活躍している。

介護関連

柔道整復師であれば、介護関連の現場で機能訓練指導員としてリハビリに当たることができる。介護老人福祉施設など介護の必要な高齢者の暮らす施設、高齢者の通うデイサービス、さらには在宅で介護サービスを受けている高齢者の元に赴いて、リハビリを行う。高齢者は転倒による骨折や捻挫を引き起こすことが多く、素早い対応が望まれる。また、ケガのあとのリハビリも早期にスタートさせることで機能回復の向上につながる。ケアマネージャー(介護支援専門員)の資格を取得し、介護のスペシャリストとして活躍するケースも。

専門家Q&A
Q&A

柔道整復師についての疑問に、森ノ宮医療学園専門学校がお答えします

柔道整復師ってどんな仕事?

森ノ宮医療学園専門学校

柔道整復学科
葉山 直史

たとえば、接骨院(整骨院)などで施術を行っている人が柔道整復師です。柔道整復師は捻挫や骨折などのケガを手術や薬を用いず「柔道整復術」で治す、つまりヒトの身体が持つ治癒能力を最大限に発揮させる治療の専門家です。
昔から「ほねつぎ」「接骨師」として知られ、骨・関節・筋・腱・靭帯などに加わる急性、亜急性の原因によって発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷(肉ばなれ)などに対して治療を行っています。

そもそも柔道整復って何ですか?

森ノ宮医療学園専門学校

柔道整復学科岩重 尚人

柔道整復は日本の伝統医療です。柔術の活法を起源とし、手術や投薬を用いずに骨や筋肉の働きを利用して治療を進めます。そのため身体への負担が軽いことが特長で、西洋医学の知識・理論との融合も積極的に行われています。
骨や筋肉、関節の働きを応用して治療します。最近ではケガの応急処置や治療のみならず、スポーツする人のトレーニングや競技前後のケア、健康や美容の維持増進にも用いられています。また、電気を使う機材などを使わず検査できるので、スポーツ現場や災害現場などでも役に立つことができます。

柔道整復師はどんな働き方ができますか?

森ノ宮医療学園専門学校

柔道整復学科老後 隆志

独立開業できるということが大きな特徴の一つです。また、接骨院(整骨院)、病院、整形外科クリニック等の医療機関への就職などのほか、スポーツトレーナーになる、介護・福祉施設に勤務するなど、働き方はいろいろあります。
柔道整復師には自分で施術所を開設できる開業権(※)がありますから、資格を取れば自由に開業することができる一方、開業すれば経営者としての苦労もあります。たとえばお店や小さな会社を開くことを想像してみて下さい。接骨院(整骨院)もお店であり会社ですから、同じくらい難しいと言えます。ただし、柔道整復師は医療の専門家であって、自分の判断や技術が商品ですから、自分自身の努力で商品の価値を上げていくことができるのです。開業の際の設備も病院などと比較して少なくて済みます。 勤務する場合、整骨院や病院などの医療機関で施術者として働くことが主ですが、フィットネス施設やスポーツ現場ではトレーナーとして、また介護福祉施設で機能訓練に携わる場合もあります。


(※)…一定の実務経験が必要(健康保険を取り扱う場合)

(※)…一定の実務経験が必要(健康保険を取り扱う場合)

柔道整復師には将来性がありますか?

森ノ宮医療学園専門学校

柔道整復学科朝倉 智仁

柔道整復は、地域医療やスポーツ医療の領域はもとより、介護や福祉の分野からも注目を集めています。日本はすでに超高齢社会であり、今後さらに高齢者が増えて医療機関の不足が深刻になります。地域で信頼される柔道整復師になるよう努力すれば、将来は明るいと言えます。
知識と技術を活かせる分野は多く、創意工夫によって活躍のチャンスは十分にあります。
柔道整復師は外傷(ケガ)の専門家であり、身体の運動に関わる構造、機能に精通しています。その知識を生かしてスポーツ現場のほか、予防医学や健康増進、介護や福祉の分野に活躍の場を広げています。

柔道整復師の仕事の良いところは?

森ノ宮医療学園専門学校

柔道整復学科岸上 知可

自分の判断で患者さんを治療できる、数少ない医療の国家資格であり、直接患者さんと関わって悩みを聴き、解決し、治癒する場に立ち会えることが大きな魅力です。また、ライフステージに合わせて働き方を変えることができます。定年がありませんので、何歳になっても仕事ができます。
柔道整復師はケガの状態を把握し、必要な医学的処置を判断して実施し、そのケガが治癒するまでをみることができる仕事です。たとえば骨折した患者さんが手術を望まず、徒手整復によって保存的に治癒することができた場合などは柔道整復師の仕事の醍醐味といえるでしょう。ただし、その判断や処置の精度は知識、技術、経験に大きく左右されますので、相応の努力が必要ですが、それもやりがいにつながっています。
柔道整復は海外でもJudo-Therapyとして知られており、国内のみならず海外でも活躍することが期待できます。

どうすれば柔道整復師になれますか?

森ノ宮医療学園専門学校

柔道整復学科
小笠原 孝嗣

高校卒業後、厚生労働省の許可した専門の養成施設(3年以上)か文部科学省の指定した大学で所定の科目を履修して国家試験を受け、合格すると厚生労働大臣免許の柔道整復師になれます。
履修科目には、解剖学、生理学、運動学、病理学、衛生学、公衆衛生学などの基礎系科目と柔道整復理論、柔道整復実技、関係法規、外科学、リハビリテーション医学などの臨床系専門科目があります。国家試験に合格するための勉強はラクではありませんが、真剣に取り組めば乗り越えられるものです。本校では国家試験合格を目標とした“予備校的な”授業ではなく、資格取得後を見据え、現場で活躍できる柔道整復師を育成する教育を行っています。

どんな人が柔道整復師に向いていますか?

森ノ宮医療学園専門学校

柔道整復学科
葉山 直史

医療者として、患者さんの立場に立って考えられる人です。人と接するのが好きな人、誰かの役に立つことに喜びを感じることができる人、スポーツ経験者なども柔道整復師に向いています。
患者さんは身体のどこかに痛みや不具合を抱えて来院されます。患者さんの不安や不便さを解消するよう心を配りながら、患者さんにとって最良の選択肢を示してあげるには、“優しい”だけではなく、豊かな知識から導かれる確かな判断が必要です。でも、その力を身につける原動力は“優しさ”なのだと思います。
スポーツによるケガの患者さんも多く来院されますので、スポーツ好きの方は知識や経験を生かすことができ、おすすめです。

柔道が苦手でも柔道整復師になれますか?

森ノ宮医療学園専門学校

柔道整復学科入江 浩正

はい。なれます。柔道の形を覚えていただくことは必須ですから柔道実技の授業もありますが、高校の体育の授業よりもやさしいので、心配はありません。
力の使い方を学ぶので、腕力や体力に自信がなくても、コツを覚えれば上手に施術できるようになります。

森ノ宮医療学園専門学校が考える理想の柔道整復師とは?

森ノ宮医療学園専門学校

校長清水 尚道

接骨院や病院はもちろん、スポーツ現場や介護・福祉施設など様々な分野で活躍できる柔道整復師であり、高度な専門知識と患者さんに寄り添うことのできる人間性を備えた柔道整復師です。
患者さんにとって最良の選択肢を示し、最良の結果を出すことができる柔道整復師。
そのような柔道整復師を養成するため、クリニックでの実習など、生の「臨床現場」で学ぶことができる「臨床」を意識した授業を提供しています。

用語説明

柔術の活法とは?

柔術とは日本古来の、主に素手で戦う武術のことで、江戸時代には多数の流派があり、発展しました。
人を攻撃する技を研究し、鍛錬する一方で、ケガを治す医術や意識を失った者に施す蘇生術も磨かれました。
人を攻撃する技を「殺法」、負傷者を救う医術を「活法」と言い、表裏の関係として伝承され、ケガをした人が柔術の道場に運びこまれ治療を受けたのが「ほねつぎ」の始まりだったそうです。
また、柔術を基に、明治時代に嘉納治五郎が「柔道」を創始し、戦後は国際的に発展して現在に至っています。

治癒能力とは?

人間の身体、心が生まれながらにして持っているケガや病気を治す力、機能のこと。

亜急性損傷とは?

反復あるいは持続する力によって損傷が生じること。場合によっては原因を自覚せず発生することもあり、長距離ランナーに生じる疲労骨折は代表的な損傷です。

機能訓練とは?

主にケガや病気、老化などで低下した運動機能の回復を目的として行う訓練のこと。

超高齢社会とは?

世界保健機構(WHO)や国連では、総人口に対して65歳以上の高齢者の占める割合が7%以上の場合を「高齢化社会」、14%以上を「高齢社会」、21%以上を「超高齢社会」と定義しています。
日本は高齢者の占める割合が25.1%※に達しており、世界に類を見ない超高齢社会となっています。(※内閣府調査:平成25年10月1日現在)

徒手整復とは?

骨折や脱臼でずれた骨や関節を手で皮膚の上から操作し、正常な位置に戻すこと。手術のように傷をつけず、作用する力の方向や強さを微妙にコントロールできる等の特長があります。

保存的療法とは?

保存的療法とは人体を傷つけずに治療する、つまり手術以外の治療のことをいいます。出血させずに治療するので非観血的療法ともいいます。それに対して、手術は出血を伴うので観血的療法といいます。

臨床とは?

もともとは病(のぞ)み、患者さんに向き合って診察・治療にあたることをいい、現在では医療を行う現場、あるいは現場を重視する考えや立場のことを指します。
柔道整復師となって、臨床の場に立ち、患者さんに真摯に向き合うためには、確かな知識と技術、そして誠実な人間性が求められます。
私たち森ノ宮医療学園専門学校が理想とするのは、患者さんにとって最良の選択肢を示し、最良の結果を出すことができる医療人です。
そんな柔道整復師を育てるために講師たちは自らの知識、技術、経験を伝えるべく、講義、実技、実習を行っています。
「学生の向こうにいる患者さんのために、すべてを伝えたい」
森ノ宮医療学園専門学校での学びのすべては“臨床”に繋がっているのです。

柔道整復師の豆知識
Trivia

整骨院と接骨院・整体院は同じですか?

整骨院と接骨院は、いずれも柔道整復師が柔道整復を行うために開業しているものです。一方、整体院では整体やカイロプラクティックなどが行われます。

柔道整復師と整体師の違いは?

柔道整復師資格は国家資格であるのに対し、整体師やカイロプラクターは民間資格です。また、柔道整復師の治療行為に対しては健康保険、自賠責保険、労災保険などの保険が適用されることも大きな違いです。

柔道整復師は日本にどれくらいいますか?

厚生労働省発表の『2018年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況』によると、就業柔道整復師は全国で73,017人存在しています。登録のある整骨院は全国に50,077軒です。

柔道整復師の収入は?

働き方によって異なります。開業する場合は整骨院・接骨院の収入から経費を引いた利益のなかから自由に収入を決めることができます。医療機関に勤務する場合はお給料をもらいます。正社員として勤務した場合の初任給は平均20万円です(本校への求人票平均)。

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柔術から生まれた「ほねつぎ」の技。
ケガの診療から治療、リハビリすべてを手掛ける

薬を使わず、手技だけで治療する

柔道整復師、一般の人には耳慣れない仕事だと思います。

いったい、どのような仕事かと言えば、最も目に入りやすいのは接骨院の先生方です。彼らは柔道整復師の資格を持ち、骨折、脱臼、捻挫など、ケガの治療を行います。

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柔道整復師をめざしたい方へ

本校では、柔道整復師に興味をお持ちの方へ、もっと知っていただくために柔道整復学科の体験授業を開催しております。年齢性別、職業問わず、どなたでもご参加いただけますので、是非お気軽にお越しください。

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